オリジナルのフィギュアをオーダーメイドで製作いたします。
あなたの描いたイラストや写真などから立体化しています。

クリアパーツのサンプル製作

フィギュアにおける表現を拡張するために、クリアパーツが使える方がいろいろ役立つかと思ったので、まずはいろいろ試してみました。(^O^)。

クリアパーツの製作に挑戦してみよう。

創作や同人系の漫画を描いている方であれば、装飾パーツやコスチューム、アイテムなどでクリスタル系の物を使っている場合や、漫画内のアクションシーンで魔法や爆発など、いろいろなエフェクトを使う場合もあるかと思います。
それらをフィギュアとして再現する場合に、最もスムーズに思い浮かぶのは、クリアパーツでの再現かと思います。
最近では、映画、ゲーム、アニメなどのエフェクトシーンを再現した市販のフィギュアも多く見られますので、今回は、そのようなクリスタル系パーツやエフェクトをフィギュアとして製作する場合に参考になるような、パーツの作り方などについてまとめたいと思います。

サイズ:約 7cm
2014/04 完成。
2018/12
2019/04

こういうカラークリアのパーツが製作できます。この上から塗装をすることで更に、いろいろ表現出来そうです。

カラークリアレジン カラークリア画像

クリアレジンなので、トナー(顔料)などを入れないと、クリア(透明)なパーツが出来ます。画像では見づらいですね...。スミマセン(^O^)。
背景を真っ白にすると、見えなくなるので、少し画像のトーンを落としています。

クリアパーツ画像クリア

1.フィギュアで使用するクリアパーツとは。

フィギュアで使うクリアパーツというのは、次の2種類になると思います。

  • 物理的な透明なアイテム
  • 自然系のエフェクト

まずは、宝石などのパーツ、ロボット系のレンズやライト、羽毛系ではない昆虫系の羽根、シースルーの衣装やビニール製の浮き輪やボール、透明感のある髪の表現やリアル系での透明感のある肌の表現などの物理的な再現を目的とした場合。
次に、エフェクトとしては、自然のエフェクト(炎・水・風・雷・煙など。)、必殺技・パワー、魔法、武器によるエフェクト(ビーム・気・電子・エネルギー砲など。)が思いつきます。

これらのパーツをどうやって製作するか考えてみたいと思います。

2.透明なパーツを作る方法は?

まず、透明パーツはどうすれば製作できるのか考えます。

  1. 原型データを製作して、クリア素材で出力する方法(3Dプリンター使用)
  2. 原型を製作して、クリア素材で複製する方法(シリコン型使用)

1つ目の方法として、透明素材でパーツを出力する方法です。
複製などの作業が必要ないので、手間がかからず、きれいな透明パーツが製作できるのが良い点ですね。ただ、素材にもよりますが出力費用がネックかもしれませんね。 出力後のサポート材・積層段差などの研磨・処理作業は緻密な作業となり、非常に時間も必要としますので、こういう作業が好きな方は向いているかと思います。
上記の課題がクリアできれば、非常に優れたクリアパーツの製作方法かと思いますので、ぜひ挑戦してみてください。

2つ目の方法として、ファンドやパテなどで原型を製作し、透明レジンで製作する方法があります。こちらの方法が最もポピュラーかなと感じました。

ネットで調べても、透明で立体的なパーツを作る場合は、透明レジンなどで複製する方法が一番、行われているかと思います。
この方法のネックとしては、パーツに気泡が入り、きれいなパーツを作ることが難しい点です、ただ、いろんな方のQ&Aを見つけることができるので、困ったときにすぐ調べることもできるのが良いですね。ということで、このページでは、シンプルに透明樹脂による複製についてエモデザ的に考えていきたいと思います。

エモデザでは、クリアパーツの製作にクリア素材での出力も使用するようにしました。 (追記:2019/04

3.複製用の型の作り方。

今回は、あえて、複製しづらいように型を製作したので、ホビーキャストの場合だけ、少し気泡が残ってしまいましたが、通常製作する場合は、気泡抜けが良いように原型を配置し、湯道も上手く作れば、気泡はほぼ無くなると思います。(ただし、今回は、真空脱泡機を使用しています。)

型の作り方ですが、透明レジンも通常のレジンと同じような型の作り方なので、特に説明は必要ないかと思いますが、参考までに少しご説明を...。
まず、パーツを粘土の埋めます。

粘土埋め

ダボをつけて、片面の完成です。

片面の完成

シリコンを流します。

シリコン流し

今回は、シリコンを流した後、石膏でバックアップしまして、片面が出来ました。

反転

同じように反対側もシリコンなどを流しまして、型の完成です。

完成

下の画像は、完成した型の画像を撮るのを忘れていたので、ガッツリと複製作業をした後の型の画像です。スミマセン。先に撮っておきべきでした...。
エポキシ系のレジンも同じ型で数多くテストしましたので、黄ばんでおりますね。

型の画像

4.使うレジンを選ぶ。

今回、使用する透明レジンですが、いろいろなメーカーから販売されているので、まずは、どのようなものが選択肢に入るかを見てみます。種類で言うと、おおまかに以下の2つです。

  • エポキシ系
  • ポリウレタン系

エポキシ系は気泡が抜けやすいみたいですが、硬化時間が非常に長く、趣味でじっくり製作される場合は向いているかと思います。

ポリウレタン系は、いわゆるレジンキャストといわれるもので、ガレージキットなどやフィギュア原型を製作している方はご存知の通りです。
注型業者さん、いわゆる抜き屋さんでも使用しているのはポリウレタン系のレジンみたいなので、こちらはある程度のスピードが必要な方に向いているかと思います。

価格的には、エポキシの方が少し高価になっています。

ポリウレタン樹脂のレジンに関してですが、近くの模型店やネットで簡単に買えるものと考えると、下の2つかなと思います。(個人的な近所のお店です...。)

1つ目は、日新レジンの「ホビーキャストNX」です。
2つ目は、造形村の「 EXキャスト (透明)」です。

次に、エポキシ樹脂のものに関しては、こちらでしょうか。

日新レジンの「クリスタルレジン2スーパークリアー」
デブコンの「ET高透明注型エポキシ樹脂」

この中から、今回は、「ホビーキャストNX」、「 EXキャスト (透明)」、「クリスタルレジン2スーパークリアー」を使いたいと思います。
これは個人的な好みなので、近くの模型店に他のレジンの方が手に入れやすい場合は、そちらをメインに使用してください。

他にも、特に海外製のレジンですごく透明度が高そうなものもありますが、頻繁に使用する場合は、身近な場所で購入できる方がいいかと思うので、今回はやめておきます。
頻繁に使用される方は、近くの模型店で売っていて、後々、追加で購入する際に楽な物を選んで下さい。

この記事を書いてからいろいろと透明レジンを調べたんですが、使ってみて、個人的に、一番おすすめしたいのは、ウレタン技研さんの「GKキャストクリアー」です。 まぁ、好みもあるので、ご参考までに。(^O^)。(追記:2015/04)

ウレタン技研さんの「GKキャストクリアー」ですが、生産中止みたい(間違っていたらスミマセン)で、現在、手に入らないみたいです。追記するのを忘れていたので、今更ですが...。
現在のおすすめは、ベルグさんの透明レジンです。作業時間もたっぷり取れますし、パキッとしたクリア感など、すこしお値段が高めで、真空脱泡機が無いと使えませんが、たいへん良いレジンでした。使ってみてそう思いました。今までなぜ使わなかったんだろう...。 (追記:2018/12

5.気泡のないクリアパーツを作る。

透明パーツをレジンで製作する場合に一番問題になるのは、やっぱり「気泡」でしょうね。
ボクも昔、透明のレジンを使ったことがありますが、(かなり昔なのでどんな種類のモノを使ったかは全く覚えていませんが...。)気泡がたんまり出来た記憶はあります。
まずは、この気泡はどうすれば発生するのかを調べて、それの対処方法が分かればキレイなパーツが製作できることでしょう。

説明書やパッケージに記載している基本に忠実に注型することが最も大切だと思います。(無視しがちですが、非常に重要です。(^O^)。)

まず、1つ目は、気泡を作る原因としては、主剤と硬化剤を混ぜる際に、撹拌の動きで空気を一緒に入れてしまうのが問題だと思います。

2つ目にエポキシの場合は、硬化まで時間が必要となるものが多いので、その間に少しずつ抜けていくと思いますが、ポリウレタン系の場合は、硬化するまでの時間が短く、空気が抜ける前に硬化が始まってしまうので、手流しでは完全に空気を抜くことが難しいみたいです。

その他にも、シリコン型や道具が水で濡れている場合や結露など湿っぽい場合は、ドライヤー等で完全に乾かす必要がある。との事なのでこの辺の基本的な対策もきちんととることにします。

これらの作業を行っていても、気泡が入る場合はあります。その場合は、どうするか。

  1. 真空脱泡機を使う。
  2. レジン内の気泡を注型する前に消しておく。
  3. 注型する際に更に気をつける。

「2.」に関しては、注型後に型の内部で空気が発生する場合は、対応できない。
「3.」に関しては、これでも発生した場合にどうするかわからない...。

対策として一番行っている方が多いのが「1.」の真空脱泡機を使用するということでしょうか。
ただ、真空脱泡機も高価なので、めったに使わない方はコストパフォーマンス的にもったいないので、難しいですが。
真空脱泡機を使用しない方は次の「6.」は飛ばして「9.真空脱泡機を使わないクリアパーツの作り方。」をご覧ください。

6.真空脱泡機を使いこなす。

真空脱泡機を使ってクリアレジンを使いましたので、その中で最もベストだった方法をまとめておきます。

ホビーキャストNX(クリア)

ホビーキャストのA剤、B剤共にを予備脱泡をする。2回ぐらいA剤が大きく発泡する。その後、A.B剤共に発泡が収まる。

型をドライヤーで温めて、予備脱泡をした液を注型後、真空脱泡機をスタートして、真空に達してから、沸騰のように大きな泡がバクバクとシリコン型が揺れるくらいあふれる。30秒以上待っても収まらないので、スイッチを切って、リーク。
しかし、気泡が残る。

感想:
レジンの硬化時間が短いので、十分な脱泡ができないような感じがしました。

EXキャスト (透明)(ボークス)

ボークスのクリアレジンも同じように予備脱泡後、型を温めて、注型後、真空脱泡機をかけると、大きな泡が発生後、キレイに収まるので、その時にスイッチを切って、リークすると、キレイなクリアパーツができている。真空脱泡するには、非常に適したレジンだと感じました。

感想:
作業に関しては、何の問題も無いが、色味が若干、黄色にそまっているのが残念。

真空脱泡機を使用した方法としては、上記の方法が基本だと思います。
これで、気泡が残る場合は、型への原型の配置がすこし間違っていたか、レジンの鮮度が古いか、など、一作業ずつ確認と改良が必要です。
ボク自身も、この方法が完璧とは思いません。脱泡機の使い方や、型の温度調整、レジンの撹拌作業など、すべての作業が1つとなって、キレイなクリアパーツが出来ますので、気長に練習するしかありません。

以下に、脱泡機を使っていて感じたことや、今後気をつけることを自分用に書いておきます。

  • レジンの硬化時間や鮮度によって異なるので、各レジンで慣れが必要。
  • 硬化が始まってから、真空引きを止めても遅いので、硬化時間が早い場合は、真空引きの時間を短くする。(真空引きの作業時間を縮める)
  • 沸騰したまま、一気(急激)に真空を開放(リーク)すると、空気を含んだ液が流れこむ(空気を噛む)可能性もある。(ポンプ停止後、しばらく待つ。?)
  • ガムテープでふちを囲む。(あふれるので。)

7.クリアカラーパーツを作る。

クリアカラーのパーツを作る場合にはトナーと呼ばれる色の元を入れます。

このトナーも市販品ではなく、マジックのインクを使ったり、コピックを使ったり、エナメル塗料を入れたりとイロイロされている方もいますが、キレイな発色とコンスタントに手に入るということを考えると、やっぱり模型メーカーやレジンのメーカーなどが販売しているモノを使う方が良いと思います。メーカーさんもがっつりテストなどはしていると思いますし...。
また、トナーは染料系と顔料系がありますが、染料系の場合は、時間の経過と共に退色が早いみたいなので、できるだけ安全性をとって、顔料系のトナーを使いたいと思います。

色は3原色や4色のトナーを混色して製作するので、基本的には何色のクリアパーツでも製作可能になりますが、後は混色の技術でしょうね...。
それから、透明パーツは経年劣化による黄変等が発生する場合がありますので、製作後はなるべく早く、UVカットのクリアや塗装をすることをオススメします。

8.考察:色味に関して。

下の画像は上に載せている画像と同じものです。

レジン画像
  • (左)エポキシレジンのクリアは若干、曇りのある透明感があります。エポキシ特有の粘り気のありそうな透明感?です。
  • (中央)ポリウレタンレジンのクリアは、硬質的なパキッとしたクリアです。(ホビーキャストNX)
  • (右)ボークスのクリアレジンは黄色が強いです。(レジンの鮮度によると思いますが、このレジンは購入後すぐに使用していますので、平均的なものと考えます。)

ボークス以外の上記の2つのクリアレジンに関しては、この上から、ペーパーがけをしてクリアなどを塗装すれば、問題ないぐらい(白色系)クリアになると思います。
これは、あくまでも注型後、すぐの状態を観察しただけですので、このままコーティングせずに何年もそのままだと変色する可能性もありますが...。

ただし、黄味を帯びているのレジンが悪いというわけではありませんので、お間違いなく。
この色味のレジンは、上から黄色のカラーを覆うような色味を塗装する場合は、関係ありませんし、透明系の色味で塗装をしたい場合は、黄色ベースを考慮して調色すれば、まったく問題ないかと思います。この場合は、少し練習が必要かと思いますが...。
また、あえて、このレジンを使用するという手もあります。
アンティークや経年劣化の表現、古びた感じ、昭和な感じのアイテムのクリアパーツには最適かと思います。塗装をせずにアンティーク感が再現できるので。

エポキシは型の劣化が早くなる印象です。型から離す際に離型剤を塗っていても外しづらいです。

9.真空脱泡機を使わないクリアパーツの作り方。

真空脱泡機はそこそこ高価ですので、手流しでキレイなクリアパーツを製作する場合は、以下の点だけでも実行していただくと、何もしないよりは少しはキレイなパーツが出来るかと思います。
「3.」については不明ですが、「1.」「2.」については使えるかと思いますので、ダマされたと思ってぜひ試してみてください。(ダマされる場合もたまにありますが...。(T_T))

1.ポリビーカーを使う。
レジンを混ぜたり、注型したりする際は紙コップよりポリビーカーを使うようにしています。
紙コップを使うと、乾いているように見える紙コップの水分がレジンに水分を与えて気泡が増えたような感じがしました。紙コップを真空脱泡機で使用した時に、ずっと小さな気泡が出続けていたので。(個人的意見です。)

2.型をドライヤーで温める(小さい気泡を潰す。)
型をドライヤーなどで温めると、何もせずに注型した際に複製パーツの表面に現れる小さな気泡が多少、潰れるみたいです。
このドライヤーで温める方法は個人的にはかなり有効だと思っているので、慣れた方はどれくらい温めたら、気泡が無くなるか試してみてください。

3.主剤を温める(サラサラにする。)
エポキシの場合は、主剤を温めるとサラサラになり、流れやすくなるので、気泡がたまりにくいという事も聞きますが、コレは試していません。スミマセン...。
温度が上がり過ぎると、この時点で硬化してしまう可能性があるかと思いますので...。(試される方は十分ご注意下さい。)