威彦さんのキャラクター「モーガン」フィギュアを作っています。
擬人系でケモノ系のデフォルメは製作したことはありましたが、猫のボクサーは初めて作りました。(^O^)。
まだまだ、この世にはボクの知らない世界が存在しています...。
今回は、このモーガンフィギュアを製作するにあたり、実際の猫の、みた目・デザイン・肉球の形などイロイロ勉強になりました。こうして、ボクの浅く、広い?知識は増えていくのでありました。(笑)
キャラクターのデザインは、©威彦さんですが、製作の資料としていただいたイラスト資料は、複数の絵師さんにご依頼されたということで、画像の掲載に関しては、今回は、控えさせていただきますね。(^O^)。
では、早速製作について解説したいと思います。
ボディと頭部のベースをまとめて製作します。
今回は、筋肉というよりはボディラインに特徴があるので、おおまかに製作していきます。
猫キャラクターはほとんど作ったことがなかったので、製作を楽しみにしておりました。
ボディの製作についてですが、今回は、デジタル造型で製作を行っていますが、アナログつまり、ファンドやスカルピー、エポパテなどでボディを製作するときも基本的に製作の流れは同じですので、もしデジタルで製作していない方でも参考にしていただければと思います。
まず、芯となる物、アナログだったら針金、デジタルならその針金の代わりをラフなデータで製作します。
その芯に肉をつけていくわけですが、今回、製作に使用しているソフトはZbrushというソフトで、粘土を持ったり、削ったり、平にしたり、データを粘土で製作したことのある方であれば、同じような感覚で作ることができると思います。
ソフトでは、アナログで粘土を足す作業もできますので、少しづつ粘土を持って製作する方法の場合は、ストレス無く、ソフトも使えるかと思います。
ファンドなどでの製作と同じように、まずはキャラクター本体を製作します。それから、その本体に洋服などのパーツを製作していきますが、デジタルでもほとんど同じような製作工程となります。
ただ、デジタルの場合は、仮のパーツとして洋服などのデータをボディより先に製作して、ボディを製作後、それに合わせるように微調整を行なうということも可能ですが、基本的には、順番に作っていくのがいいかと思います。
もし、先に洋服などのパーツを作る場合と比較しても、ボディを製作した後に、洋服を製作するほうが、総合的に時間の短縮が出来る場合がありますので、どうしても良いイメージが浮かんで先に作っておきたいという時以外は、焦らずにゆっくり製作するのもいいかと思います。
次は、ボクサーの特徴であるボクサーパンツを作ります。
下の画像のボクサーパンツですが、まずは、ひな形(ベース)となるものですので、エッジが無いためか、少し、ちょうちんパンツみたいになっていますが、最終的には、カッコイイ感じのシャープなボクサーパンツを目指します。
このパンツもボディよりも先にデータを製作することは出来ますが、股下の長さやウエストサイズ、膝に対しての長さのバランスなどを考えると、ボディを先に製作したほうが正解に近いと思います。
ラフですが、尻尾を製作します。
尻尾などのボディ本体から細長いパーツが出ている場合は、アナログ造型でも別パーツとして製作しますが、デジタルでも同様です。
少し話は飛びますが、デジタル出力する際に尻尾などをボディとくっつけて1パーツとして製作・出力する場合も、尻尾を別パーツとして出力する場合も、出力の際にどうなるかを少し考慮した作り方をすることをおすすめします。
例えば、この尻尾の付け根部分ですが、別パーツとして出力する場合は、かなり細くなると思いますので、組み付けるダボのようにボディ部分に凹、尻尾の付け根部分に凸のパーツをつけて、強度的に問題ないように製作することが必要です。
アナログの場合は、実際にボディ部分に組み付けながら尻尾パーツを作るので、この接続部分の方法に関して、忘れることは無いと思いますが、デジタルの場合は、何も考えずにデータをポチポチとくっつけていけるので、つい忘れがちになってしまいます。ですので、この部分はデジタルで製作する場合は「組み立てる」事を忘れないように気をつけましょう。
次は、全体に毛の流れを追加していきます。
今回は、肘や肩、かかと部分など、手の流れが変わる部分を中心に毛先の表現を追加しました。
全体に毛の流れを追加することは出来ますが、さすがにモンスターみたいになってしまいますので、可愛い感じに仕上げるために少しだけ追加しました。
最終的に、ポーズをつけていくので、その際に毛の流れのデザインが、どうすればカッコイイかと考えた時に、ヒジなどの角度がついた動きの目印というか、流れの切り替えみたいな部分でカワイイ毛先が少し、ふさふさっていう感じがカッコ可愛いかと思ったので、今回はこのようにしました。
イメージがわかりにくいと思いますが、最終的な完成画像を見ながら、この部分だなと感じてもらえればと思います。
下の画像で言うと、尻尾の部分が、少し分かりやすいかなと思うのですが、まぁ、こんな感じです。伝わったかなぁ...。
上の画像から、全体的に、作業をしました。
ご依頼者さんに全体を確認していただいた所、グローブと頭部の大きさに関して、気になるということで、ご指示いただきまして、グローブを大きく、頭部を少し小さくしました。
今まで、スカルピーなどで製作していた時には、この一部パーツの大きさの変更という作業は非常に時間のかかる一大事のような作業でしたが、デジタルの場合は、一部パーツの大きさの変更などは、かなり時間が短縮してできるようになりました。まぁ、こういった部分を改善するためにデジタルに移行したということもありますが...。
取り敢えず、デジタルの恩恵にあずかりましょう。(^O^)
アナログで製作されている方は、この大変さは痛感しているかと思います。
全体的にデータをきれいにしました。
例をあげますと、下の耳がグリーンの方の画像ですが、これがデータをきれいにする前の画像で、耳が、イエローとオレンジの方がデータをきれいにした後の画像です。
データがきれいになったかどうかは見てのとおりです。
ちなみに、グリーンの方についてですが、メロンの網目のようになっているのは、イエロー側のデータがきれいに整列しているのに対し、もっと細かいデータが乱雑に入り組んでいる状態で、悪く言うと、無駄なデータが多いということです。
細かすぎて、画像ではヒビのように見えているだけで、実際に割れている等ではありません。
この作業をすることで、耳の厚みを増やしたり、毛先の部分だけねじれを加えたりする際に、その部分だけ、膨らんだりすること無く、耳全体として流れがおかしくならないようになります。
他にもイロイロ方法はあると思うんですが、個人的には、この方法が気持ちいいので、今のところはこの流れで作業をしています。
グローブや全体のバランスなどご指示いただいた部分について修正をしたので、ご依頼者さんに再びご確認していただきました。
頭部のトップの毛の形と足先の長さに関して、気になるということでしたので、イメージに近くなるように更に修正をさせていただきました。
足先の長さに関しては、横向きの画像を見ると、分かりやすいかと思います。
先ほど、書きましたが、データをきれいにしたので、ボクサーパンツやグローブもなかなか見栄えがするようになったと思うのですが...。
完成時には、ベースに固定するので、ハッキリとは見えないかと思いますが、足裏の肉球に関してもデザインを行っています。
実際の猫の肉球を参考にデザインをしたのですが、このキャラクターの足の指が3本で、実際のものとは形が同じにできないので、中心部分の肉球の形を作ることが難しかったです。
グローブのディテールも追加しています。もう少しディテールを入れようかと思ったのですが、全体的に可愛い感じの印象にしたかったので、細かなラインやシワ、縫い目などは省略しています。
グローブ部分をアップでご覧ください。こんな感じになっています。
上の状態で、更にご依頼者さまにご確認していただきました。
肉球の形のイメージが違っていたみたいです。足裏の肉球の形は、角の丸い三角形が希望ということで、そのように変更しましたよ。スミマセン。(^_^;)。この部分を整え、以上で、直立データが完成しました。
直立データの製作に関しては、気持ちがノッている時に一気にある程度進めますが、次の日に改めて見ると、なんかちょっと違うな~という時もたまにありますので、気分だけに頼らず、客観的な視点でも見ないとダメですね。
アナログで製作する場合は、一気に形を作っていくと、造型にもその勢いが現れて、造型の「凄さ」が出ますが、デジタルの場合は、あまりそういった部分は現れないみたいですね。ただ単に、腕が足りないだけかもしれませんが。こういった勢いがデジタルでも出せるようになると、本物ということでしょうか?(^^)
下の画像は、完成したデータの画像です。
今回は、完成時の大きさが全高約10cmなので、細かすぎるモールドはあまり入れていません。入れても、出力時にほとんど見えないような感じになるので。
直立ポーズでのデータ製作が終わったので、これから、個人的に楽しみなポーズ付けの作業を行います。
ご依頼さんのご希望で、拳を胸の前で合わせているポーズを製作しますが、脚の動きをつけた時に全体のバランス的に尻尾の動き方が逆の方が見た目に安定しそうだったので、尻尾の向きは変更させていただきました。
これを踏まえ、歩いた時の体の傾きや肘や肩の位置を考えながらポーズをつけていきます。
ちなみに、フィギュアのポーズを考える場合は、実際に自分でポーズをとってみると、イメージしやすいかと思います。
実際にポーズをとることで、動いている筋肉の場所や、腕・足・首・体の傾きなどが確認できるので、動物の擬人化キャラクターを含め、人っぽい感じのフィギュアの場合は、役立つかと思いますので、お試しください。ポーズをとっている時は、ちょっと恥ずかしいので、誰にも見られないようにご注意ください。(^o^)
下の画像が(仮)ポーズ付けの作業が終わった状態です。まだシワ等をつけていなのと、ポーズを変更したことでデータのポリゴンが突っ張たり歪んだりしているので、すこし違和感を感じますね。ポーズを確認していただいてOKが出た後に、シワ等を追加してその部分を直していきます。
ポーズを確認していただきましたが、顔と腕(グローブ)の向きが少し気になるということでしたので、その部分を中心に作業を追加しました。
内容としては、グローブの拳面をピッタリと合わせた感じがご希望ということでしたが、グローブのボリュームがあったので、拳の表面を揃えると、骨格が崩れそうだったのですが、イメージに近くなるように目一杯拳を合わせたイメージにしました。
それから、顔が少し下を向いているということでしたので、もうちょっと顔が見えるようにしました。
ちなみに、顔にある4つの点はヒゲの場所となります。いただいた資料イラストにもあるのですが、実際の猫と同じように目の上と口の部分に追加予定ですが、データで製作するには細すぎるので、金属線にて追加する予定です。
今回のフィギュアの最終型データです。
上の状態でご確認していただきました所、ヒゲの位置の修正と左目を挑発するような感じで少し閉じたいということでしたので、その部分を修正しました。
まずは、ヒゲの部分ですが、口の上部分にあるヒゲの場所を頬部分に変更しました。この画像からでは見えづらいですが、頬部分に黒く点をつけています。
目に関しては、挑発的な表情になるように、まぶた部分の形を変え、眉間の片側に少しシワを入れて、睨んでいるような目になるようにしました。
以上で、フィギュアの形としてのデータ製作は終了となります。
塗装が完了したフィギュアをアップしました。詳しくは、作品ギャラリーをご覧ください。